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SFファンタジー自己啓発書『臆病な僕でも勇者になれた七つの教え』

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SFファンタジー自己啓発書『臆病な僕でも勇者になれた七つの教え』

amazon評価(2016/6/18現在)  :
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こんにちは、じゅんです。

今回取り上げるのはアドラー心理学的な自己啓発の要素を含んだ小説『臆病な僕でも勇者になれた七つの教え』。

これはもう2016年の本屋大賞最有力候補ではないかと思えるくらい、最高の冒険SFファンタジー小説です。

もしまだ読んでいないのなら、ぜひ手に取って読んでみてください。

青い髪の虐められっこと、容姿端麗スポーツ万能の秀才二人の成長物語

この物語の主人公は青い髪を持つ虐められっ子の『キラ』。

生まれつき『青い髪』を持っていることから、『バケモノ』扱いされ、父親までもがそれを理由に離れていてしまったと思い込んでいる。

そんな彼が普段傷つかない為に選んだ選択肢が『目立たないこと』。

もう一人、この物語の準主人公的存在として登場する『リク』。

『キラ』のクラスメイトで、将来はプロ野球選手になるのが夢。

エースで4番、おまけに頭も良くて、容姿端麗、裕福な家庭に育った、他人から見たら非の打ち所の無い少年。

キラの愛犬『とんび』がカエルの石像の口から異世界に飛び込んだことから始まる冒険物語。

まるで正反対に見える二人の少年たちが、共に成長しながら前に進んでいく、アドラー心理学的な自己啓発の要素をも含んだお話になっています。

7つの石は勇者への道

電子書籍版臆病な僕でも勇者になれた七つの教え

この異世界は、地球より3倍の速度で時間が進んでいく。

つまり、地球の1日がこの異世界の3日に相当する。

だから、2人の少年たちは、親に心配を掛けない為にも、3日以内にこの世界を抜け出すべく冒険を始める。

それには『クイチピチュ(虹の峰)』と呼ばれる山の奥に眠っている『アーク(聖櫃)』に納められた『願いをかなえる剣』を見つけ出す必要がある。

但し、その『アーク(聖櫃)』の蓋を開ける為には、先に『7つの石(ストーン)』を手に入れなければならない。

果たして、2人の少年は、7つの石を手に入れ、無事現実世界に戻ることができるのか?

というのが、この物語の大筋になります。

『7つの石』を探す、ってどこかで聞いたことのある話ですが、決して二番煎じの物語ではありませんよ。

『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』のようなファンタジー世界での冒険物語でありながら、現実世界とのパラレルワールドを描いたSFの要素をも兼ね備えた、2人の少年たちの成長物語。

先にも述べたアドラー心理学的な自己啓発の要素も交えて、云わば『SFファンタジー自己啓発書』と呼べる、これまでに無かった物語なのです。

2人の冒険を取り囲む登場人物たち

キラとリク、この2人の少年の冒険に常に助言を与えてくれる人物がいます。

それが『ラオシー(老師)』と呼ばれる、仙人のようなおじいさん。

更に冒険の途中では、味方なのか、敵なのか、少し怪しい雰囲気を持った少女『エリカ』が2人の冒険に加わります。

また7つの石を探す道中には、『タマス』と呼ばれる悪の集団が現れ、2人を邪魔します。

時に助け合い、時に戦い、また時には試されながら進んでいく2人の冒険。

この物語に登場するこれらのキャラクター、2人の少年たちの成長には誰一人(タマスは複数いますが)として欠かせません。

それぞれのキャラクターの存在意義を考えながら、読み進めてみてください。

7つの石にはそれぞれ意味がある

この異世界から脱出するため、そして英雄になる為、2人の少年は『7つの石』を探し求めます。

例えば1つ目の赤い石の意味は『恐』。

『恐』を克服した者が、この赤い石を手にすることが可能になります。

主人公のキラは、これまで『恐』の塊のような少年でした。

自分の持つ『青い髪』を他人に見られバカにされることを恐れ、愛する母親が自分の為に不幸になることを恐れ、その為にできるだけ目立たないように生きていこうと心に誓ってしまうほど、自分の人生において『恐れ』を感じていました。

そんなキラが、意識を内側に向け、現実のあれやこれやを気にしていた気持ちを開放し、リラックスすると、フッとこの赤い石がキラの元に落ちてきたのです。

こうして、時にはキラがある感情を克服し、時にはリクがある感情を克服することで、2人の力で7つの石を集めていくのです。

ラオシー(老師)の教えが心に刺さる

ドラゴンボールで言えば、亀仙人のような存在のラオシー(老師)。

亀仙人はただのエロ親父的な存在ですが、ラオシー(老師)は一味違います。

2人が石を手に入れて、それぞれが成長する姿を見せた時の一言ひとことが、普段は親父ギャグをかます姿とギャップがあって、胸に響くのです。

『キラ、おまはんは、TANDENに意識を向けHaraを感じて呼吸した。ほれは心の内側に意識を向ける簡単な方法のひとつじょ。人類は潜在意識でつながっている。ほなけん内側に意識を向けると、潜在意識でつながっている相手の思惑がわかるんじぇ。』

『内なる声とは、身体からのサイン、ハートの囁きのようなもの。キラは今まで人の顔色ばかりうかがって生きてきた。自分がどうしたいかよりも、人がそうするから同じことをするということをしてきた。ほんなことしとったら、内なる声を聞く能力は失われていく。』

こういった一つひとつの教えが、大人である私たちにも、ぐっと刺さるものがあるのです。

文体的には、恐らく小学校高学年から中学生向けに書かれた本だと思うのですが、大人が読んでも満足でき、自己を研鑽させることのできる本作品。

キラとリクと一緒に冒険をして、共に成長しませんか?